月間検索数0のキーワード。SEO対策を行うべきかは検索意図で考える
- 増井 光生
-
- #SEO
- #Webマーケティング
「月間検索数0のキーワード」とは、SEOツールやキーワードプランナーなどで「推定月間検索数(検索ボリュームとも)」が0とされているキーワードを指します。月間検索数0は「誰も検索していない」と思われるかもしれませんが、実際にはどうなのでしょうか。
今回はこの「月間検索数0のキーワードに対してSEO対策を行なうべきか」問題について解説したいと思います。
ちなみに「月間検索数0」のキーワード自体が月間検索数0(ラッコキーワード調べ)なので、これを書いている時点で答えになっている気もします。
月間検索数0は本当に0なのか
月間検索数0のキーワードが本当に検索されてなければSEO対策も何もする必要がありません。
しかし、月間検索数0と表示されていても本当は0ではないケースがあります。
基本的には「検索ボリュームが非常に少ない」というケースが該当します。検索回数が月に数回程度である場合、統計的に0に近い数字とみなされることがあります。
検索数の少ないキーワードは大きく分けて「ロングテールキーワード」「トレンドキーワード」「ローカルキーワード」などに分けられると考えています。
ロングテールキーワード
ロングテールキーワードとは、3語以上の単語を組み合わせた、検索ボリュームが少ないキーワードのことです。
「足の疲れ マッサージ器 安い」「ゴルフクラブセット おすすめ 初心者」などがあたります。
トレンドキーワード
トレンドキーワードとは、文字通りトレンドになっている、最新の出来事や流行によって検索ボリュームが急激に増加するキーワードのことです。
Googleトレンドの急上昇中のタブなどでリアルタイムで急上昇しているキーワードを確認することができます。
また、先日発表された「Yahoo!検索大賞」や「流行語大賞」も2024年の初めには検索数0に近かったのではないでしょうか。
ちなみに個人的に、ほぼ確で検索大賞のネクストブレイクに入ると思っていた福留光穂さんは、スペシャル部門で2位となっていて少し悔しい思いをしています。
ローカルキーワード
ローカルキーワードとは、特定の地域や場所と関連性の高いキーワードのことです。
「東京 カフェ おすすめ」などでは検索ボリュームが1,600回ほどあるようですが、これが人口の少ない市町村では0と表示されるでしょう。
検索ボリューム0でもSEO対策は行なうべきか?
Googleの「世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスできて使えるようにすること」という使命に則れば、検索ボリュームがあろうがなかろうが有益なコンテンツであれば発信するべきだと考えられます。
そして多分、Xを中心としたSNSなどで検索セントラルや検索エンジン関係者に聞いてみても似たような言葉が返ってくると思います。
しかし本来は、月間検索数が大きいキーワードを優先して対策した方が良く、現実問題として月間検索数0のキーワードへの対策まで手が回らないという企業が多いのではないでしょうか。
しかし、実は月間検索数が0でも、というより0だからこそ積極的にSEO対策を行なった方がいいケースもあります。
関連記事:Google AI Overview・GPT SearchがあってもSEOはオワコンにならないと思う
月間検索数0のキーワードでSEO対策をした方がいい理由
まず前提として「月間検索数0」とされるキーワードでも、実際には検索されている場合があります。
その中でSEO対策を行なうべきか否かは、ご自身の企業のビジネスモデルに則って判断ができるかと思います。
検索意図が明確でターゲットユーザーにリーチしやすい
月間検索数が少ないキーワードは、検索意図(インテント)が非常にわかりやすいことが多いです。
「足の疲れ マッサージ器 安い」のようなキーワードは、明らかに「安価な足のマッサージ器を探している人」であることがわかるので、ピンポイントでニーズを満たせます。
このように、検索意図と親和性が高い適切なコンテンツを提供することで、コンバージョンにかなり近くなると考えられます。
関連記事:Google広告の部分一致がインテントマッチへ|検索意図を捉えましょう
トレンドを先取りできる可能性がある
トレンドキーワードは世間に発見されていないうちは簡単に上位表示できるものの、流行になってしまったら上位表示が非常に難しいです。
SEOではありませんが、流行に乗り始めたばかりの福留光穂さんにPRを依頼したフェイスマスクの「LuLuLun(ルルルン)」は非常に先見の明があると思っています。
ただ、本来であればYouTube「佐久間宣行のNOBROC TV」の「アルコ&ピース、5Gがないと本気が出ないドッキリ」が今年の活躍の始まりなので、本来はそちらが評価された方がいいのでは、という気持ちもあります。
メインサービス・メイン商品の関連ページとなる
例えば「占い」のホームページを1ページで上位表示させようとすると、1ページで多くの情報を網羅しなければならず、ものすごい文量になる上に読みづらいという、非常にユーザビリティの低いページができてしまいます。
従って1ページでは上位表示がかなり難しく「占い 地名(都道府県名など)」「占い 夢」「占い 料金」などの関連キーワードを関連ページとして適切に配置してサイト全体で「占い」に関するページを作った方が効果的と考えられます。
さらに、「手相占い」を専門とする占い師であれば月間検索数368,000回の「占い 夢」などのコンテンツよりも月間検索数0回の「手相占い 左手 恋愛」などのコンテンツの方が、まだ楽にコンバージョンを取れると思います。
また、熊本を拠点とする占い師なら月間検索数2,400回の「手相占い 東京」よりも月間検索数590回の「手相占い 熊本」を狙うべきでしょう。
月間検索数0のキーワードのメリット
上記と重複しますが改めてメリットをまとめてみると以下のようになります。
競合が少なく簡単に上位表示しやすい
検索数0のキーワードは多くの人に注目されていないため、競合サイトが少ない傾向にあります。
従って、比較的簡単に検索結果の上位を狙うことができます。上位表示されることで、そのキーワードで検索するわずかなユーザーをほぼ確実に取り込むことができます。
検索意図がわかりやすく回答しやすい
月間検索数0のキーワードを使うユーザーは、非常に具体的な検索意図を持っている場合が多いです。
このため、適切なコンテンツを提供できれば、ユーザーエンゲージメントが高くなるでしょう。
ニッチな市場やトレンドで独走できる可能性がある
検索数0のキーワードは、ニッチな市場や新しいトレンドの場合があります。
こういったキーワードでのコンテンツ制作は、競合が少ない市場で早期に上位表示され、そのまま上位を取り続けやすいです。
月間検索数0のキーワードのデメリット
当たり前、というよりデメリットばかりと思われがちな月間検索数0のキーワードですが、メリットを言いすぎたのでデメリットも紹介します。
アクセスが少ない可能性がある
当然ですが、実際に検索されている回数が少なければ、上位表示しても期待するほどユーザーも少ないです。
月間検索数0と表示されているのに激戦区なキーワードもあり、どれだけ頑張っても上位表示されず、アクセスが増えることもなく、コンテンツ制作の労力が無駄になることも考えられます。
例えば「月間検索数0」というキーワードは月間検索数0なのに激戦区のキーワードであるため、今の私のように苦しみながら書くということになってしまいます。
母数が少なくデータ分析が難しい
検索数が低いため、Google AnalyticsやSearch Consoleなどのツールで十分なデータが得られず、キーワードの効果測定が難しい場合があります。
効果測定が難しいため、SEO対策での戦略の調整が難しくなることがあります。
そもそもニーズが存在しない可能性もある
今までは月間検索数0でも多少はあるというていで話を進めてきましたが、本当に0回の場合があることを忘れてはいけません。
検索意図が似ているキーワードがあればまだ救われますが、本当に需要のないキーワードである可能性もありえます。
月間検索数0キーワードを活用するか否かは、メリットとデメリットを天秤にかけ、ビジネスゴールとの一致を確認することが重要です。
どこまでSEO施策を行うべき?判断基準と戦略
月間検索数0のキーワードに対してSEO対策を行うべきかどうかは、単に検索ボリュームだけでなく、ビジネスの目標やキーワードの特性を考慮して判断する必要があります。
ここでは、その判断基準と戦略の一例について紹介します。
判断基準:ビジネスの目標をベースに考える
ビジネス目標を明確にする
SEO施策を行う目的が「ユーザー数の増加」なのか、それとも「コンバージョン率向上」や「ブランド認知拡大」なのかによって、月間検索数0のキーワードを選ぶべきかが異なります。
- ユーザー数の増加が目標:検索数0のキーワードは避けて検索数の多い穴場キーワード選定をした方が良いでしょう。
- コンバージョン率向上が目標:明確な検索意図を持つユーザーにリーチできるため効果があると考えられます。
キーワードの検索意図から考える
キーワードが「知りたい」「書いたい」など、どのような検索意図を持つかを見極めることが重要です。
キーワードを以下の4つのパターンに分ける手法を見たことがある方もいらっしゃるかもしれません。
- Knowクエリ(知りたい)
- Goクエリ(行きたい)
- Doクエリ(やってみたい)
- Buyクエリ(買いたい)
クエリは、検索窓に入力する単語や文言のことで、キーワードと同じような意味です。ただ、英単語通りに受け取ってしまうと誤解が生じるかもしれませんので簡単に解説します。
- Knowクエリ:情報収集したい(例:「iPhone Android 違い」)
- Goクエリ:特定のサイトに行きたい(例:「Apple iPhone」)
- Doクエリ:何か解決をしてみたい(例:「iPhone 安く 買う」)
- Buyクエリ:買う前の情報収集をしたい(例:「iPhone 評判」)
この4つの検索意図を読み解くと以下のようになります。
- Knowクエリ:コンバージョンからは遠いため検索ボリュームが少ないと攻めるメリットがあまりない
- Goクエリ:明らかに他社サイトに行きたがっているため上位表示がかなり難しい
- Doクエリ:コンバージョンから近いものの自社サービスと合っていなければ意味が薄い
- Buyクエリ:かなりコンバージョンに近いためSEO対策を確実に行なう必要がある
「購入意図」が強いDoクエリやBuyクエリは、検索ボリュームが低くても企業のサービスとマッチしていれば高い成果をもたらす可能性があります。
競合状況を分析する
検索数0とされるキーワードでも、競合が強い場合はリソースが割に合わない可能性があります。特に大きい市場の大手企業は展開している商品やサービスが多い分、SEO対策もかなり広めに手を打っています。
一方で、競合が少ない場合は、短期間で成果を出せる可能性があります。実際に検索して競合サイトの有無や品質を確認しましょう。
戦略:適切なSEO施策の実施
検索意図と関連性の高いコンテンツを作成する
おさらいになってしまいますが、検索数0のキーワードは、具体的でニッチな検索意図を持つ場合が多いため、その意図を的確に満たすコンテンツを作成することが必須項目です。
複数のキーワードをまとめてターゲットにする
上述したように、月間検索数が低いキーワードは、1つだけでは十分なトラフィックを得られない場合があります。
しかし、関連性のあるロングテールキーワードを複数取り込むことで、全体的な集客力を向上させることが可能です。
例えば「初心者 ランニングシューズ 安い」「初心者 ランニングシューズ 防水」「初心者 ランニングシューズ おすすめ」などはひと記事で網羅できそうです。
結果的に「初心者 ランニングシューズ」で上位表示が見えてくる可能性もあります。
リスティング広告も活用する
検索数0のキーワードでのSEO施策は時間がかかる場合があります。その間に、リスティング広告を活用してトラフィックを増やし、SEO対策で効果が現れ出したら広告費用を下げるなどの戦略もあります(SEM:検索エンジンマーケティング)。
補完策としてSNSなども挙げられます。一度拡散に成功してしまえば、指名検索でユーザーが増えるためです。企業のアカウントのフォロワーが少ないと難易度がかなり高いですが、アイデアの1つとして持っておいてもいいでしょう。
まとめ
月間検索数0のキーワードにSEO施策を行うべきかどうかは、検索意図で考えることが重要です。
競合の少なさや特定のターゲット層へのアプローチが可能であれば、検索ボリューム以上の効果が得られる可能性があります。
月間検索数0のキーワードに対策するかどうかは検索意図とリソースを比較して現実的に考えましょう。