Google AI Overview・SearchGPTがあってもSEOはオワコンにならないと思う
- 増井 光生
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2024年8月20日、Googleは『AI Overview(日本語訳:AIによる概要、旧SGE)』を日本でも一般公開すると発表しました。
現時点ではSearch Labsからオプトインする必要がありますが、それが不要となるようです(段階的に展開予定)。
2024年7月25日には、OpenAIが『Search GPT』を発表したばかりです。
そこでいわゆる「SEOはオワコン説」が浮上すると思うので、ブームに乗っかっておこうと思います。
タイトルにもある通り、影響はあるもののオワコンにはならないのではと思っています。
関連記事:Google検索の新機能AI Overview(SGE)とは?使い方や影響について解説!
AI Overviewとは
AI Overview(エーアイ・オーバービュー)は、Googleが提供するAIを活用した検索機能です。ユーザーが求める情報を迅速に提供することを目的としており、検索クエリに対して関連性の高い情報を表示することで、ユーザー体験を向上させます。また、複雑な複数の質問に回答したり、動画検索も可能になったりすることで、手間なく情報を得ることが可能になります。SEO対策においても重要な要素となります。
Googleは2024年5月14日、開発者向けイベント「Google I/O 2024」でAI Overviewを発表し、5月から米国で提供を開始しました。提供開始当初は「ピザに接着剤を入れる」などの奇妙な回答を提示することもありましたが、「広範なテストと肯定的なフィードバックを経て」拡大し、日本を含む6カ国で現地言語で提供されることになりました。ただし、日本ではまだ一般公開されていないため、AI Overviewを利用するには設定が必要です。
Google AI Overviewが生成した回答
らしいです。
右にある「すべてを表示」をクリックするとソースの一覧が出てきます。
今回は2段落分のテキストが表示されていますが、それぞれの段落のリンクのマークのボタンを押すとその段落に絞ったソース一覧が出現する仕組みなようです。
Search GPTとは
“Search GPT”は、OpenAIのChatGPTなどの言語モデルに検索機能を統合したもので、ユーザーがリアルタイムで情報を検索できるようにしたシステムです。このシステムを使用すると、モデルが持っている既存の知識だけでなく、インターネット上の最新情報や特定の質問に対してリアルタイムでの情報検索が行えます。例えば、最新のニュースや特定の製品情報など、常に更新される情報にアクセスする必要がある場合に便利です。
この機能は、検索エンジンのように動作し、関連する結果を取得してユーザーに提供するため、言語モデルが提供する情報がより包括的で最新のものになることを目指しています。
ChatGPTが生成した回答
ChatGPTは、現時点で2023年10月までの情報しか学習していません。
そのため「Search GPTとは」という質問に答えるのは不可能なはずですが、少し日本語が変ではあるものの、Webブラウジングを使ってまあまあ正しい情報を出していると見てよさそうです。
この時点でChatGPT自体にある程度検索エンジン的な役割は少なからずあるように見えますが、Google検索の方がより使われています。
SEOがオワコンにならないと思う理由
ここからは、SEO対策がオワコンにならないと思う理由をだらだらと述べていきます。
あくまで個人の感想で、AIの進歩が上回ってくる可能性もあるとは思います。
検索意図が正解を求めているものだけではない
上記のような「〇〇とは」のような回答があるようなものであれば、確かにAI OverviewやSearch GPTで良いかもしれません。
しかし、検索クエリ(検索に使用した単語や語句)は「〇〇とは」のようなものばかりではありません。
検索クエリの裏には検索意図があるはずで、その意図は単に正解を求めているものばかりではないのです。
クエリと呼ぶのかプロンプトと呼ぶのかわかりませんが、現時点ですでに多様化している検索クエリ全てに対応できるとは思えません。
関連記事:Google広告の部分一致がインテントマッチへ|検索意図を捉えましょう
ハルシネーションのリスクが高まる
ハルシネーションとは、AI が事実とは異なる情報を、まるで事実であるかのように生成してしまう現象のことです。
これは、AI が学習したデータに偏りがあったり、不十分であったりする場合に起こりやすく、あたかも AI が「幻覚」を見ているかのように、もっともらしい嘘や誤った情報を生成してしまうことから、「ハルシネーション」と呼ばれています。
特に、言語モデルはハルシネーションを起こしやすい傾向があり、注意が必要です。
ハルシネーションは、AI が生成した情報が本当に正しいのかどうかを常に疑い、複数の情報源と照らし合わせたり、ファクトチェックを行ったりする習慣を持つことで、その影響を軽減することができます。
Google Gemini が生成した回答
要は「AIも間違えるよ」ということなのですが、SEOがオワコンとなるとすると、学習ソースとなるであろうネット上の情報が少なくなってしまうという懸念があります。
もともと、Webブラウジング機能が付いた背景のひとつに、ハルシネーションのリスクを抑えるためというのがありますが、ブラウジングして情報がなかったら元も子もありません。
そもそもAIが最新情報に弱い傾向にあるので、さすがに当日の情報は無理があったのか、上記のAI Overviewの回答がすでに最新情報ではないです。
Perplexityの認知度がそこまで高くない
Perplexityは、AIを組み込んだ対話型検索エンジンで、元Google AI研究者が在籍するPerplexity AI社によって開発され、2022年12月にリリースされました。このサービスは、ユーザーが質問を入力するだけでAIが回答を提供するため、従来の検索エンジンよりも利便性が高いとされています。
主な特徴
- 最新情報の提供: Perplexityは常に最新の情報に基づいて回答を生成し、その情報源も明記されるため、信頼性の高い情報を提供します。
- ユーザーフレンドリーな操作性: アカウント登録やログインが不要で、直感的に利用できるため、手軽に情報を得ることができます。
- 多様な検索機能: 検索範囲を特定の分野に絞ることができ、専門的な情報を効率的に取得できます。
- モバイル対応: スマートフォンでも利用可能で、音声入力や画像検索などの機能も備えています。
- Perplexity Pages: 2024年5月に発表された機能で、検索結果をもとにAIが自動で記事を生成し、編集や画像の挿入も可能です.
注意点
Perplexityは、情報検索や業務の効率化に役立つツールとして注目されていますが、特に日本語での使用には注意が必要です。
Perplexityが生成したPerplexityの解説
Perplexityは当初『回答エンジン』として割と大々的に打ち出されました。
しかし、そこまでの認知度は得ていないようです。
OpenAIのページを見た感じだと、おそらくSearch GPTも似たようなイメージで出ると予想されますが、Perplexity自体に認知度があまりないことを考えると自然と検索してしまう習性は続きそうです。
AIはエンタメに弱い
検索意図の中でも根強い需要のあるもののひとつに、エンタメ系クエリがありますが、AIの回答はあまり面白くはないと思っています。
これは受け取り手の問題なので、AIの回答に対し「いやめっちゃウケるんだけど」という方もいることは承知していますが、クリエイターのコンテンツの方が面白いと思っています。
「SEOはオワコン」は何度も言われている
そもそも「SEOはオワコン」は以前から何度も言われていることです。
しかし、Googleの検索エンジンは使われ続けてきており、SEO対策は未だ健在です。
よく考えたらChatGPT登場当時も「SEOはオワコン」と言われていました。
ChatGPTの登場でGoogleは「コードレッド」を宣言しましたが、結局いまのところ検索エンジンが主流です。
SEOはオワコンにはならないが考え方は変わると思う
AI Overview自体は、2024年5月のGoogle I/O 2024で紹介されましたし、SGEの展開時も思っていたよりも影響は小さいものでした。
ただ、今でも検索結果に動画が出ていますが、マルチモーダルAIの発展により、語句ではなく画像検索、動画検索の精度と頻度は上がることが予想されます。
ただ、Google検索はアルゴリズムの変動はたくさんあるものの、ユーザーにとって有意義なコンテンツを評価する姿勢は変わっていないので、どんな発信方法が検索意図に応えるのに適しているのかを今よりももっと考える必要が出てくるのかなと思います。