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先週の土曜日、島田美術館にて蓮井幹生(はすいみきお)さんの写真展とトークショーに参加してきました。蓮井さんご本人による写真の解説と様々なエピソードを聞くことができ、すごく刺激的な体験でした。

テーマは「日本の自然の美しさと、それを心に刻む日本人の心の機微を私なりに表現した作品群」(蓮井氏)だそうです。
「PEACE LAND」では九州の海を撮った作品が並んでいました。
印刷されたものとPCやテレビなどでみるものとでは、色合いの豊かさや迫力が全然違いました。印画紙なども黒の深さや色合いがより豊かに表現できるように、こだわって作品を作られているそうです。

フィルムとデジタルとの違いなどの技術的なお話や、水木しげるさんとのマレーシアでのエピソード、宇宙人の話など、どのお話もすごく面白くて楽しかったです。

特に印象に残ったのが、「PEACE LAND」の水平線のお話でした。
蓮井さんのブログから引用してご紹介したいと思います。

今日の会場でのトークショーで、なぜ僕の水平線の写真はその分割が1:1なのかと聞かれた。

わたしはこう答えた。
「この水平線はボーダーなのです。空と海との境目。細くて繊細なその線は、きっちりとその境を上下に分けています。もし、僕に俊足の足と体力があったとして、果たしてその線の上に立つことが出来るでしょうか。出来ません。水平線はどこまで行っても、そこに届くことは出来ません。ボーダーとはそういうものではないでしょうか。遠くから人ごとに見ていればそこにあっても、実際に行って水平線に近づくことはできない。
私たちの社会はそんなありもしないボーダーをいつも決めています。僕はそんなものを取り払いたい。」

今回、蓮井さんのお話と写真を見たことで、自分も撮りたくてうずうずしてきました。
写真展は12日までなので、お時間のある方はぜひ!

蓮井幹生 Mikio HASUI
www.mhasui.com

1955 年東京都出身。明治学院高校、同大学社会学部社会学科に入学。アートディレクター守谷猛氏に師事しデザインを学び、 デザインの道に入るが、1984 年から独学で写真を学び、1988 年の個展を機に写真家への転向を果たす。カルチャー系エディトリアルシーンで発表されたポートレイト作品により注目を集めることになるが、着々とその表現の幅を拡大し、ストーリーを語りかける写真表現で厚い信頼を得る。写真表現が持つ精緻なメッセージを引き出すその撮影姿勢を反映した作品『PEACE LAND』はまさに蓮井の世界観の核を成し、継続的に発表され、2009 年にはフランス国立図書館に作品が収蔵される。

ⓒMIKIO HASUI 詠む写真